沖縄県知事「着陸帯撤去を」 米軍ヘリ飛行強行 高江炎上 原因説明なく


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飛行を再開し、離陸する大型輸送ヘリコプターCH53E=18日午前10時42分、宜野湾市の米軍普天間飛行場(明真南斗撮影)

 在沖米海兵隊は18日、東村高江での炎上事故後、運用停止していた普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eの飛行を再開した。これを受け翁長雄志知事は高江地区を取り囲むよう配備されている米軍北部訓練場の六つのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の撤去を求める意向を初めて示した。翁長知事は「私たちの気持ちからすると使用禁止だ。切なる思いは撤去だ」と記者団に述べた。県、市町村、日本政府に原因究明や再発防止策の説明がないままの米軍による飛行再開強行に県内から反発が相次いだ。事故機の解体作業を続ける米軍は現場から機体を搬出する作業を19日にも開始するとみられる。

翁長雄志知事

 18日午前10時42分、米軍普天間飛行場からは最初のCH53Eが飛び立ち、午後からは離着陸を繰り返していた。事故があった高江地区上空でも同型機が確認された。事故現場では、米軍関係者が重機で機体の撤去に向けた作業を続けた。

 また県と沖縄防衛局は同日、県庁で記者会見し、事故機付近などの放射線調査の結果、「いずれも異常な値は検出されなかった」として事実上の「安全宣言」を行った。

 翁長知事は那覇市の県議会棟で記者団に、飛行再開強行について「米軍の姿勢は断じて容認できず言語道断だ。米軍の対応を許した日本政府の当事者能力にも疑問を禁じ得ず、政府の責任で納得のいく対応を強く求める」と抗議した。さらに「あの状況で原因究明ができているわけがない。それを究明はもう終わったという形で押し切っていくのが日本の現状だ」と憂えた。

 小野寺五典防衛相は防衛省で記者団に、飛行再開について「誠に遺憾だ」と強調した。翁長知事がヘリパッドの撤去を求めたことについては、新ヘリパッド建設を前提条件に北部訓練場の過半が返還されたことを説明した上で「米側に安全な運行を心掛けるよう要請したい」と撤去要求を拒否した。

 防衛省が派遣した自衛官に対し米軍は17日、再発防止策などを説明した。だが、小野寺氏は米軍の説明内容は不十分だとして「安全性が確認されるまで飛行停止すべきという立場は変わっていない」との認識を示した。

 米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は市役所で取材に応じ「市民が不安に思っている中で、安全性がしっかりと確認されないままに飛行したのは極めて遺憾だ」と憤慨した。

英文へ→Governor Onaga demands helipad removal as U.S. resumes flights of helicopter model involved in Takae fire incident