「人命無事で良かった」 高江炎上ヘリ消火、放射線に不安も 国頭消防隊員


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米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリCH53Eが不時着し炎上した現場で消火活動を続けた国頭消防本部の隊員ら=11日午後7時半ごろ、東村高江

 【東】CH53E大型ヘリの炎上事故の当日、機体から20~30メートル近くで放射性物質の被ばくや爆発の不安を抱きながら初期消火にあたったのは、地元出身の国頭消防本部の隊員だった。

 11日午後5時半ごろ、消防に入った第一報は「オスプレイ墜落」だった。東村出身の中村英男さん(46)と同僚の20代隊員は、1人ずつポンプ車とタンク車に乗って出動した。

 午後6時12分、現場に到着すると炎上するCH53Eの機体上空から米軍機がバケツをつるして水を流していた。「米軍機だから爆発物を積んでいるかもしれない。放射性物質の可能性は…」と不安が募った。

 米軍機の火災対応は初めて。放射性物質を計る線量計もない。午後6時半ごろ、後発隊の7人が到着し放水を始めた。後発隊だった東村出身の仲泊尚弘さん(28)は「不安よりも『すぐ消す』という気持ちが強かった。人の命が無事で本当に良かった」と話す。

 中村さんは「軍の災害が起きた時、私たちが先着になる。北部訓練場があるのだから軍も迅速に対応できるよう求めたい」と指摘した。

 事故後も不安は尽きない。中村さんは「(放射性物質は)目に見えない。吸った可能性がある」と話し、隊員にも緊張が広がっていると明かす。事故翌日の12日、防火衣と酸素呼吸器の放射線量を調べたところ異常はなかったが、人体調査はこれからだ。「体内被ばくなど検査して何もなければいい。今回の事故を今後につなげていかないといけない」と語る。