北部訓練場返還地に米軍廃棄物 未使用弾、プロペラも


この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治

 昨年12月に地権者へ引き渡された米軍北部訓練場返還跡地(沖縄島北部)で、米軍のものとみられる未使用の訓練弾2個やタイヤ、プロペラなど多数の廃棄物が20日までに見つかった。本紙記者とチョウ類研究者の宮城秋乃さんが取材で国頭村安田の山中を散策した際に発見した。訓練場の過半返還に伴い沖縄防衛局は約1年かけて軍事訓練に起因する環境汚染を取り除く支障除去や不発弾を含む廃棄物の撤去作業を終えたと主張しているが、実施範囲は限定的で不十分であることが浮き彫りとなった。返還跡地は林野庁が管理する国有林で市民でも容易に出入りできる。

米軍北部訓練場の返還跡地で見つかった米軍のものと見られる訓練弾=18日、沖縄県国頭村安田
英文字が入ったガラス瓶など廃棄物。ほとんどはさびていたり、破損している=18日、沖縄県国頭村安田

 訓練弾はいずれもヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)跡地の近くで、やんばる国立公園特別保護区域から約5キロの場所で見つかった。プロペラや金属板、大型トラックのタイヤや空き瓶も散らばっていた。割れたガラス瓶もあり、宮城さんによると周辺では化学薬品の臭いも充満していたという。見つかった廃棄物のほとんどはさびて一部破損しているなど、長期間放置されていた可能性が高い。

 防衛局は返還地の支障除去範囲を「土壌汚染の蓋然(がいぜん)性が高い」場所などと限定していることから、多くの有識者が問題視していた。

 防衛局の担当者は本紙取材に「あくまで土地の引き渡し前に返還地の支障除去措置は完了している」と強調し、返還後に廃棄物が見つかった場合は「まずは土地所有者に対応してもらう」とした。今回の件で林野庁から相談があれば「対応したい」としたほか、廃棄物が返還前に米側が廃棄したものである場合については「必要に応じて当局として適切に対応する」と述べるにとどめた。

 通報を受け、現場を確認した名護署の警察官は現時点で所有者や廃棄物の詳細が特定できないことから「今後、防衛局を通して米軍に照会する」とした。(当銘千絵)