ヘリ不時着「予防着陸で心配ない」 米軍幹部、訓練強化を言及


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 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米国防総省のマッケンジー統合参謀本部事務局長(中将)は25日、今月だけで既に3回起きた沖縄での米軍ヘリ不時着について「予防着陸」であり、「特に心配していない」と定例会見で述べた。在日米軍は日本との相互防衛のために駐留しており、「責任を果たすために訓練の継続が必要であり、沖縄の人々の不安を高めたとしても、同盟国を支えるために訓練は続けなければならない」と述べ、県民の認識との大きな隔たりを示した。

 また、米海兵隊のネラー総司令官は同日、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、海兵隊で昨年、深刻な航空機の墜落事故が続いたことを「ひどい1年だった」と説明。沖縄で相次ぐ不時着について「海外で予防着陸のニュースがあったが、率直に言って、予防着陸で良かった。負傷者もなく、機体を失うこともなかった」と述べた。

 また海兵隊航空部隊の即応態勢の回復が「今年の最も大きな課題だ」と述べ、新型航空機の購入や部品供給体制の合理化で飛行可能な航空機を増やし「パイロットの平均飛行時間を月11~16時間に増やしたい」と訓練強化を掲げた。

 県内では、米軍機のトラブルが続発しており、23日には渡名喜村で普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリが不時着したばかり。県側は同型機の飛行再開に反発を強めている中、米側は安全は確保されているという主張を繰り返した。

 マッケンジー氏は、渡名喜村での不時着について詳細は把握していないとした上で「警告灯で航空機を速やかに着陸させるように指示が出たのだろう。こういった行動は慎重に期した上で行われることで、必ずしも危険な飛行活動を示すものではない」と説明。ネラー氏は、昨年度、機体の全損や死者が出るなど、事故の規模が最も重大な「クラスA」の航空機事故が12件発生し、これらの大半が「機体の物理的な問題ではなかった」と述べ、訓練・整備不足や人為的ミスを示唆した。