辺野古岩礁破砕、沖縄県が敗訴 漁業権判断せず 那覇地裁


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 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設工事を巡り無許可の岩礁破砕は違法として、沖縄県が国を相手に岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟の判決が13日、那覇地裁で言い渡された。森鍵一裁判長は「県の訴えは裁判の対象にならない」として却下した。実質的な中身の審理に入らずに門前払いした。義務確認の訴えも同様に退け、判決まで工事の差し止めを求めた仮処分の申し立ても却下した。

 辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの可否が争われた訴訟に続く県側の敗訴となった。県は控訴する方針。

 森鍵裁判長は、岩礁破砕差し止め請求が国民に行政上の義務の履行を求め一般公益の保護を目的とした訴訟であるとし、自治体が条例や規則に従わせるために訴訟は起こせないとする最高裁判決(2002年の宝塚パチンコ条例事件)を引用して「訴えは不適法だ」と判示した。

 訴訟では、訴訟の相手が国だった場合にも同最高裁判決が適用されるかどうかも争点となったが「同最高裁判決は訴訟の相手が個々の国民か行政主体であるかを問うていない」とし、国の行為として問題視した県側の主張を退けた。

 県漁業調整規則に基づき許可を得る義務があることの確認を求めた訴えも同最高裁判決を適用し、審判対象とならないとした。

 沖縄防衛局が消滅したとする工事現場海域の漁業権について、県側は変わらずに存在し、岩礁破砕工事をするには県知事に許可を得る必要があると主張した。

 しかし森鍵裁判長は訴えは不適法としたことから、「判断するまでもない」とし、漁業権の有無についても審理せず判断しなかった。

 訴訟は沖縄防衛局が工事現場海域での漁業権が消滅したためとして、昨年3月末に期限切れとなった岩礁破砕の許可申請を更新しなかったことから、県は漁業権の有無を明らかにしようと提起していた。

 法廷で判決を聞いた謝花喜一郎知事公室長は「残念だ。漁業権の有無について全く判断されていない」と憤りをあらわにした。