差別や偏見 目をそらさないで 高校生ら 劇で訴え HIV、ハンセン病題材に


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差別や偏見をなくし、共に生きていくことの大切さを演劇を通じて訴えた出演者ら=18日、浦添市てだこホール大ホール

 【浦添】「人権フォーラム2018in浦添」(主催・浦添市、HIV人権ネットワーク沖縄)が18日、浦添市てだこホール大ホールで開催され、ハンセン病の歴史やエイズをテーマにした演劇「光りの扉を開けて」が上演された。約400人が来場した。家族と引き離され、隔離されて生きてきたハンセン病回復者の人生や、HIV感染者に対する差別や偏見と向き合おうとする主人公の女子高校生「めぐ」の勇気に触れ、共生社会への理解を深めた。

 県内の高校生ら29人が出演した。ハンセン病患者への隔離政策を継続していた国や、患者とその家族が地域社会から排除されていた歴史に向き合い、病気を理解し、差別や偏見をなくして共に生きることの大切さを演技を通じて訴えた。

 「光り―」は、HIV感染を宣告されためぐが、友人らの無関心や無意識の差別的発言や偏見に傷つく中、ハンセン病訴訟などを通して過去に向き合い、周りを包み込む優しさを持つようになったハンセン病回復者「八重子おばぁ」との出会いを通して、生きる勇気を持つようになる物語。複数のハンセン病患者の実体験を基にしたという八重子おばぁの人生に、観客は涙を拭っていた。

 上演に先立ち、ハンセン病回復者の平良仁雄さんと金城幸子さんの講話もあった。平良さんは「ハンセン病だったことを隠して生きてきたが、演劇の練習に取り組む子どもたちに出会い、自分自身が変わった。子どもたちが気付かせてくれた温かい心が傷付いた人を癒やす。自分が変わればきっと世界も変わる」と述べた。

 金城さんは「ハンセン病を取り巻く歴史を通じて、世界にはびこっている差別や偏見にも目を向けてほしい」と呼び掛けた。