来間言葉継承へ紙芝居 宮古総実高、1年かけ制作


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来間島の民話「ヤーマスプナカ」の紙芝居を披露する宮古総合実業高校の生徒ら=21日、宮古島市の来間島

 【来間=宮古島】県立宮古総合実業高校の農業クラブはこのほど、宮古島市の来間島に伝わる民話「ヤーマスプナカ」の紙芝居を制作した。21日に島のお年寄りや子どもを来間離島振興総合センターに招いて初披露した。失われつつある来間の言葉を伝承しようと高校生が発案し、島のお年寄りに対する聞き取り調査から始めて、絵も自ら描き1年がかりで制作した。

 島の言葉もせりふに入った紙芝居を鑑賞したお年寄りからは「素晴らしい」「ヤーマスが伝えられるとは最高だ」などの声が上がった。ヤーマスプナカのほか、昔の来間島で重要だった井戸に関する紙芝居も制作中だ。

 ヤーマスプナカは来間島の島おこし伝説だ。この伝説を基に、島では毎年旧暦9月の甲午(きのえうま)の日に、この1年に生まれた子どもを披露する「マスムイ」などが催される。

 同校の農業クラブは、数年前から農業体験を通して来間島の人たちと関わってきた。在来種の下大豆の栽培や麦こうじ作りのほか、島の言葉の継承にも活動の幅を広げてきた。紙芝居の制作は昨春から生徒の発案で取り組み始め、京都府立芸術大で非常勤講師を務める山本史さん=大阪府=らの指導を受け、1、2年生の4人で制作した。

 2年生の石嶺花鈴さん(17)は「来間の言葉を伝えていくため紙芝居作りを思い立った。話を知っているお年寄りの前で緊張した。各地で読み聞かせをして伝えていきたい」と語った。

 紙芝居を鑑賞した長間カツ子さん(72)は「ヤーマスの話を紙芝居にしてみんなに伝えてくれてうれしい。民話を守っていける」とうれしそうに話した。