固有爬虫類の取引活発に 南西諸島、違法捕獲も?


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クメトカゲモドキ(県提供)

 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の野生生物取引監視部門「トラフィック」は23日、南西諸島固有の両生類、爬虫(はちゅう)類がペットとして取引されているとの調査報告を公表した。調査対象の固有種67種の55%に当たる37種が国内や海外市場で活発に取引されていた。取引があった固有種には環境省のレッドリスト絶滅危惧IA類の「ミヤコカナヘビ」や「クメトカゲモドキ」も含まれている。ペットとしての爬虫類人気を背景に、違法な捕獲や取引が横行している疑いもあるとして、国に規制や監視の強化、対策を求めている。

 同団体は2017年1月から1年間、国内の店舗や国内、欧米のインターネット市場での取引状況を調査した。そのほか、南西諸島の行政担当者、研究者、観光業者などから捕獲や取引、住民の意識について、聞き取りした。

 同団体によると、取引が確認できた37種のうち、ワシントン条約や種の保存法、文化財保護法、地方自治体の条例などによって捕獲や取引が禁止または制限されている種は15種あった。

 国内市場では「野生捕獲」や「飼育下繁殖」などとして、千円~3万円で取引されており、インターネット上でも活発な販売があった。国内の展示即売会では事業者が石垣市条例で捕獲が制限されているサキシマカナヘビを捕獲し、繁殖させて販売している事例もあった。欧米のネット市場では多くが「飼育下繁殖」として販売され、ヨナグニシュウダがペアで28万7500円の高値で取引されていた。

 調査結果を受け、トラフィックは日本政府に対し、南西諸島固有のトカゲモドキ属とミヤコカナヘビについて、輸出入する場合には、輸出国の政府が発行する許可書が必要となる「ワシントン条約付属書III」への掲載を提案することや税関による監視強化などを求めている。