在沖海兵隊のグアム移転予算法案 米連邦議会を通過


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 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】米議会上院は12日の本会議で、2015会計年度(14年10月~15年9月)の国防権限法案を賛成多数で可決した。4日の下院に続く可決で、法案が連邦議会を通過した。オバマ大統領の署名を経て成立する。

 法案は在沖米海兵隊のうち約4千人のグアム移転計画に関する予算凍結措置の解除を盛り込んでいる。移転計画に関し、これで米議会が課してきた制限が取り払われた。15会計年度から計画が本格的に進むこととなり、沖縄の負担軽減につながることが期待される。
 在日米軍再編の日米合意に基づくグアム移転計画は、在沖米海兵隊約1万9千人のうち約9千人をハワイなどを含む国外に移転するとした計画の一部。だが普天間飛行場の辺野古移設にめどが付かないことや、国防総省による予算見積もりがずさんであることなどから、米議会が予算の大部分の執行を凍結していた。
 06年合意では辺野古移設とグアム移転が連動していたが、両政府は12年の合意でこの二つを切り離すことを決定。ことし夏には国防総省が米議会に対し、グアム移転の費用や工程を見積もった「基本計画」を提出し、議会側はこれを受け、予算の凍結解除を判断した。
 一方、可決した国防権限法は、グアム移転費が膨らむことを懸念する上院側に配慮し、実際の事業費が現段階の試算額である87億ドル(約1兆円)を超えてはならないとの文言を盛り込んだ。ただ米政府監査院(GAO)は、実際の事業費は政府の見積もりを超過すると指摘しており、今後、この費用が日米間の懸案になる可能性もある。