ガマの生活 生々しく 玻名城さん、戦争体験語る


社会
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 【浦添】浦添の戦争体験を語り継ぐ「子どもから見た戦中・戦後」(主催・市中央公民館)の平和講座が11日、浦添市立中央公民館で行われた。

浦添城跡内にある「クチグヮーガマ」に戦時中避難していた玻名城初江さん(83)は、民間人が50人ほど避難していたガマのすぐ外で、日米両軍の戦闘が繰り広げられていたとし「爆風の熱風で髪の毛がちぢれ、爆弾が落ちるたびに破片が飛び、壕の天井に人間の肉片がひっついて『地獄とはこんなものなのか』と思った」と生々しく当時のことを証言した。
 講座には約50人が参加した。浦添城跡の周辺は日米両軍が死闘を繰り広げた有数の激戦地で、城跡内には複数の壕が今も残っている。
 市仲間出身の玻名城さんは父親は防衛隊に召集され、祖母、母、妹、弟と親戚ら8人で1945年3月下旬から「クチグヮーガマ」に避難した。当時13歳だった。
 約2カ月のガマの暮らしは、近くの湧き水をくみに行くのも命懸けだったとし「飲まず食わずの生活をしていると、唾液がなくなり、黒砂糖をなめても溶けもしない。喉を通らなかった」と振り返った。
 市中央公民館の新川純子館長が聞き手となって玻名城さんが語った。
 浦添市史の編集委員を務め戦争体験記録の調査を行ってきた石原昌家さん(沖国大名誉教授)は、79~84年にかけて市内の字ごとにお年寄りに集まってもらい、戦争体験を聞き取る調査方法で市史をまとめた。市民目線で多角的に編集する方法は、当時「浦添方式」として県内の市町村史に影響を与えた。
 石原さんは「市史5巻『戦争体験記録』は一人一人の体験ルポとなった。5巻を活用し、再び戦闘に子や孫が巻き込まれないよう役立ててほしい」と述べた。また、現在国会で審議されている安保法案についても懸念を示した。
 市中央公民館は戦後70年の節目に、戦争体験者からの聞き取り作業を始め、動画などにまとめる取り組みを今後実施していく。

浦添市立中央公民館の平和講座で、浦添での戦争体験に耳を傾ける参加者ら=11日、同公民館
沖縄戦について語る玻名城初江さん=11日、浦添市立中央公民館
石原 昌家氏