【台風21号】与那国317戸損壊 停電400戸、電話不通も


社会
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 非常に強い台風21号の接近で県内で過去2番目に大きい81・1メートルの最大瞬間風速を観測した与那国島では台風通過から一夜明けた29日、全壊10戸を含め民家全体の約4割に当たるとみられる317戸の住宅の損壊が確認された。

電柱約40本が倒壊し、体育館の屋根も大破した。
 風力発電機1機の羽根1枚が折れた。漁船の沈没や横倒しのほか、防波堤の損壊もあった。与那国空港内の機器が故障し一時機能がまひした。29日午後9時現在も400戸が停電している。固定電話や携帯電話の不通について復旧作業が続けられているが、29日夜も電話やインターネットがつながりにくい状態が続いている。
 NTT西日本や携帯電話各社の基地局の停電や断線などにより、与那国町内では28日から電話がつながりにくくなっている。同町は29日午前、県を通じて復旧のため陸上自衛隊に災害派遣を要請した。同日午後、陸自ヘリ2機が資機材や作業員を乗せて与那国島入り。復旧作業が続けられているが、29日夜時点で電気も通信回線も完全復旧には至っていない。
 県などによると、29日午後9時現在、与那国町で住宅の全壊が10戸、半壊が27戸、一部損壊が約280戸で、窓ガラスや屋根などが一部損壊した。住宅以外の公共施設にも被害が相次いだ。住民約270人が避難していた中学校の体育館の天井の一部や窓ガラスが破損し、破片で40代の男性が足に軽傷を負った。
 職員を派遣した第11管区海上保安本部によると、同町久部良漁港では一部沈没した船や陸揚げした船数隻が横倒しとなる様子が確認された。住民避難は最大で318人(与那国町273人、石垣市45人)だった。農作物にも被害が出ている。